The story of 『SPY』 presents by spookys
        
− 四国屋 −

出海・桂
桂に刃を向ける出海。
あやまる出海に桂も「君は君で堂々と生きたまえ!」と刃を向けた。本気で斬りあう2人。出海にも迷いは無かった。
(左)原田・志士 (右)桂・土方
中岡「そうやって人を斬り続けてどうする」
土方「隠れてねぇで出てきてから言え!」
桂「君たちはこれからの世には無用な輩だ!それを分りたまえ!」
土方「それを決めるのは、あんたじゃねぇなぁっ!」

駿馬 「なんでもっとお互い認めようとしないのですか!」
土方 「認めてるよ」
「なんでかな。でも僕達は交わることはない。絶対にだ!」

逃げる桂。新撰組もそれを追う。
残る駿馬に出海が言い放つ
出海 「皆変わろうとしてるんだ。くだらないことじゃない!」
− 池田屋事件 −

首魁・宮部に降伏を促す近藤。
しかし、宮部は聞く耳を持たず、徹底抗戦の構えを示した。
近藤は半ば呆れ混じりに閉口するしかなかった。

彦斎と対峙する近藤。
近藤・彦斎
近藤「女は斬りたくないなぁ」
刀も抜かず、完全に彦斎をナメてかかる近藤。
彦斎「女だからだっていう考えが気に入らんのだ!」

駿馬・彦斎
駿馬「河上さんも女であることを悔やんだことがありますか?」
彦斎「お前、船を造るんだってな。その船に私のような者は乗ることは
出来ないのかな。…その時は女同士の話をしよう」

土方隊も池田屋に駆けつけた。
(左)永倉 (中央)藤堂・永倉・彦斎 (右)藤堂
負傷しながらも戦う 永倉・藤堂。

(左)吉田 (中央)沖田・望月 (右)久坂・沖田
迎え撃つ志士達も死に物狂いで戦った。 


土方・沖田は余裕の笑みさえ浮かべ…斬り捨てて行く。
土方・沖田


倒れている北添と望月を見つけ駆け寄る駿馬と沢村。
望月は既に絶命していた。
北添・駿馬
北添 「おまんから貰った絵が、こんなんなってしもうた」
血まみれになった”フェアプレー号”の絵を取り出し、謝る北添。
北添 「坂本さん、ほんに申し訳な…」
駿馬 「北添さんも望月さんも嘘つきだ!
犠牲になるつもりはないって言ったじゃないですか!」
沢村 「アホじゃのぉ…死にくさりよって…」

吉田とテツは、近藤を含む新撰組5人に囲まれ、
なぶり殺しのようにして斬られる。
吉田「桂さん、申し訳ありませんでした…。尊皇攘夷!幕府を討つ!」
藤堂・永倉・テツ
テツ「まだまだーっ!尊皇攘夷!幕府を討つ!!」

最期に叫びを残し絶命する2人。
討幕側で戦える者は、もう宮部と彦斎しか残っていなかった。
宮部・彦斎
近藤「宮部さん。もう止めましょう」
宮部「わしらの覚悟、見さらせ!」

彦斎は5人を相手に奮戦するが遂に斬られる。
宮部「彦斎!」 彦斎を引き寄せる宮部。背中あわせに立つ2人。

近藤「女がそんなものを振るうな」
彦斎「いちいちカンにさわる野郎だなぁ!これは私なんだ!」
彦斎は剣を見つめ叫び、近藤を斬りに一直線に走った。
近藤は微塵の容赦もなく、一太刀で彦斎を斬り伏せた。
駆け寄る駿馬。
彦斎は「こんな物は捨てろ」と駿馬から刀を取り上げた。

彦斎を抱きとめる駿馬。
彦斎・駿馬

駿馬「なんで斬るんだよ!なんでそう簡単に人を斬るんだよ!」

土方「人を斬るのにいちいち考えてられねぇなぁ」
宮部「そういうことじゃ」
宮部・土方
最後の力を振り絞り、二刀流で新撰組全員と戦う宮部。

そこに四国屋から桂・中岡たちが駆けつける。
桂・宮部
宮部「桂さん、あなたには最後の最後まで、ワシ等の分まで、
こん国を背負って生きてもらわねばならん!覚悟はおありか!」
桂「勿論っ!!」
桂は振り絞るように答えた。
宮部「…結構。」

走り去る桂、久坂、寺島。
宮部は、再び、より苛烈な戦いに挑んでいく。
中岡は、戦いの再開をギリギリまで見届けてから去った。
それぞれ、死に逝く者の覚悟、生き残る者の覚悟を背負って。
 
新撰組総掛りでも宮部はなかなか倒れなかった。
土方・藤堂・宮部・原田・近藤
しかし、とうとう近藤・土方の2人に斬られ、
刀を落とし、膝をつく宮部。
近藤・土方がとどめを刺そうとした…その刹那…

「お待ちを!」
お登勢の叫びが新撰組を止めた。

宮部・お登勢
瀕死の宮部に酒を注ぐお登勢。
宮部「こん酒は…肥後の酒ですのぉ」
お登勢は、宮部のために取り寄せたという。

登勢 「お金はいただきます」
宮部 「あいにく持ち合わせが無い。
 近藤君、お願いできますか…」
近藤 「え?」
宮部 「酒代を…」
近藤 「…あとでいいですか」
宮部 「わしの最期にふさわしか…」

近藤は、宮部の前に静かに脇差を置き、大刀を抜いて傍らに立った。
宮部・近藤
もう座る力も無いはずの宮部の見事な最期であった。
 
− SPY −

斉藤は、出海にその正体をつかまれる。

奥沢「ネズミは用が済めば始末される」
奥沢はその前に逃げようと斉藤を誘う。
奥沢もまた討幕派のSPYであった。
しかし、斉藤はそれを拒絶。

言い争っている間に、2人は新撰組に囲まれてしまう。
土方「斉藤…奥沢…腹斬れっ!」

奥沢「ぅわあぁぁぁぁーーーっ!!」
 奥沢は刀を振りかざし、   
       土方に向かって闇雲に走った。

…が、届かず…

原田に二刀をあびせられ倒れた。
斉藤
近藤「斉藤!武士として腹を斬れ!」

斉藤は生まれ故郷・土佐の話を…坂本龍馬の話を始めた。
かつて心動かされた龍馬の言葉を嬉々として語りだす斉藤。


土方と沖田は静かに刀を抜き放つ。
沖田は言葉も無く斉藤を斬った。

…が、斉藤は嬉々として話すことを止めなかった。

土方、沖田に二刀、三刀とあびせられ
斉藤は遂に倒れる。

倒れながらもまだ話し続ける斉藤を置いて
新撰組たちは去っていった。

出海だけが…
斉藤のその言葉に聞き入っていた。
出海は斉藤に駆け寄り抱き起こした。


斉藤の語る龍馬の話を聞き、嬉しくなる出海。
そこにこそ、出海の望む夢があるのか…?

夢を語りきり、息絶える斉藤。

2人を見守る姉・伊織の瞳は慈しみと悲しみを湛えていた。


【 終劇 】
 
         写真提供:横田敦史写真事務所
文責:坂本カヲル


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