− 池田屋事件 − |
首魁・宮部に降伏を促す近藤。
しかし、宮部は聞く耳を持たず、徹底抗戦の構えを示した。
近藤は半ば呆れ混じりに閉口するしかなかった。
彦斎と対峙する近藤。

近藤「女は斬りたくないなぁ」
刀も抜かず、完全に彦斎をナメてかかる近藤。
彦斎「女だからだっていう考えが気に入らんのだ!」

駿馬「河上さんも女であることを悔やんだことがありますか?」
彦斎「お前、船を造るんだってな。その船に私のような者は乗ることは
出来ないのかな。…その時は女同士の話をしよう」
土方隊も池田屋に駆けつけた。

負傷しながらも戦う 永倉・藤堂。

迎え撃つ志士達も死に物狂いで戦った。 |
土方・沖田は余裕の笑みさえ浮かべ…斬り捨てて行く。

倒れている北添と望月を見つけ駆け寄る駿馬と沢村。
望月は既に絶命していた。

北添 |
「おまんから貰った絵が、こんなんなってしもうた」 |
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血まみれになった”フェアプレー号”の絵を取り出し、謝る北添。 |
北添 |
「坂本さん、ほんに申し訳な…」 |
駿馬 |
「北添さんも望月さんも嘘つきだ!
犠牲になるつもりはないって言ったじゃないですか!」 |
沢村 |
「アホじゃのぉ…死にくさりよって…」 |
吉田とテツは、近藤を含む新撰組5人に囲まれ、
なぶり殺しのようにして斬られる。
吉田「桂さん、申し訳ありませんでした…。尊皇攘夷!幕府を討つ!」

テツ「まだまだーっ!尊皇攘夷!幕府を討つ!!」
最期に叫びを残し絶命する2人。 |
討幕側で戦える者は、もう宮部と彦斎しか残っていなかった。 |

近藤「宮部さん。もう止めましょう」
宮部「わしらの覚悟、見さらせ!」
彦斎は5人を相手に奮戦するが遂に斬られる。
宮部「彦斎!」 彦斎を引き寄せる宮部。背中あわせに立つ2人。
近藤「女がそんなものを振るうな」
彦斎「いちいちカンにさわる野郎だなぁ!これは私なんだ!」
彦斎は剣を見つめ叫び、近藤を斬りに一直線に走った。
近藤は微塵の容赦もなく、一太刀で彦斎を斬り伏せた。 |
駆け寄る駿馬。
彦斎は「こんな物は捨てろ」と駿馬から刀を取り上げた。
彦斎を抱きとめる駿馬。 |
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駿馬「なんで斬るんだよ!なんでそう簡単に人を斬るんだよ!」

土方「人を斬るのにいちいち考えてられねぇなぁ」
宮部「そういうことじゃ」

最後の力を振り絞り、二刀流で新撰組全員と戦う宮部。
そこに四国屋から桂・中岡たちが駆けつける。

宮部「桂さん、あなたには最後の最後まで、ワシ等の分まで、
こん国を背負って生きてもらわねばならん!覚悟はおありか!」
桂「勿論っ!!」
桂は振り絞るように答えた。
宮部「…結構。」
走り去る桂、久坂、寺島。
宮部は、再び、より苛烈な戦いに挑んでいく。
中岡は、戦いの再開をギリギリまで見届けてから去った。
それぞれ、死に逝く者の覚悟、生き残る者の覚悟を背負って。
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新撰組総掛りでも宮部はなかなか倒れなかった。

しかし、とうとう近藤・土方の2人に斬られ、
刀を落とし、膝をつく宮部。
近藤・土方がとどめを刺そうとした…その刹那…
「お待ちを!」
お登勢の叫びが新撰組を止めた。

瀕死の宮部に酒を注ぐお登勢。
宮部「こん酒は…肥後の酒ですのぉ」
お登勢は、宮部のために取り寄せたという。
登勢 |
「お金はいただきます」 |
宮部 |
「あいにく持ち合わせが無い。
近藤君、お願いできますか…」 |
近藤 |
「え?」 |
宮部 |
「酒代を…」 |
近藤 |
「…あとでいいですか」 |
宮部 |
「わしの最期にふさわしか…」 |
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近藤は、宮部の前に静かに脇差を置き、大刀を抜いて傍らに立った。

もう座る力も無いはずの宮部の見事な最期であった。
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