「西遊記〜第1章・俺、三蔵!」その2 10年後

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監獄島に幽閉され10年

玄奘は外に出る為、ひたすら穴を掘っていた!

生まれながらに生贄となり、たった独りで
生きてきた彼の生への執着は尋常ではなかった。

その執念に驚く龍神達とチョイの幽霊。
龍神は言う。
「お前は生きる災いだ。
いつかお前自身がその災いに苦しむ時が来る」と。


そしてチョイから玄奘に新たな名が言い渡された。
その名は、三蔵!

こうして玄奘三蔵は人間界へ飛び出して行った。
光の中へと飛び出してゆく玄奘三蔵

「近いうちに龍神様の怒りが国を覆い尽くし
人々は滅びるであろう」と国中に噂が広まる中、
再び美男たちが国を奪い返しに戻って来た。

処刑から免れた青蘭親子は群集に訴える。
「救世主は我が子琥珀である」と。ところが、
民達の間では盗賊団と称する者が話題となっていた。
森ではどんぐりを奪い合いする
薄汚い金角と銀角に再会する刀。
ここでも盗賊チョイ悪団の話題が上っていた。
運命の出会いをする玄奘(左)と玉龍(右/ぎょくりゅう) 突然現れた覆面姿の男が毛の頭部を掴む 人々を平然と殺す烏祁哭を母と慕う玉龍

巷で義賊チョイ悪団のチョイワリーナとして囁かれていたのは三蔵であった。
そこに偶然現れた身なりの良い少女に「母を救え!」と頼まれる。その者を確かめに行く三蔵が訪れたのは、毛が占領した宮中であった。玉龍の母は烏祁哭。
しかし、憎い武才功の血が流れている娘 玉龍を心から愛せないと拒絶する烏祁哭。それでも母を信じる玉龍を見て、人肌脱ぐ決心をする三蔵であった。


「母は悪い人じゃないから助けろ!」と捲し立てる玉龍に、「金を払えば助けてやる」と応える三蔵。しかし「そんな物はない!」とつっぱねる玉龍。
根負けした三蔵は、仕事料を用立てる為に、金を稼ぐ極意を伝授すると称して玉龍を盗賊団に入団させる。
チョイ悪団の一員として顔を隠し、献上品や龍神の水で作られた高価な化粧水を奪い金に換え、金貨を奪い取り、金を着々と集める三蔵と玉龍。


金毘羅が大切にした母上人形も
(これがないと金毘羅は幼児化してしまうらしい)
奪いとり、仕事料の目処が付き三蔵は依頼を受ける。

母を助けること〜それが玉龍の願い。 まずは人の目に見えない龍神の見習いたちを尻目に
金角と銀角に龍神の化身として民の前に登場させ
救世主は玉龍だと信じ込ませる。

玉龍はこの世の闇を打ち払う救世主〜その噂は国中を駆け巡った。
そして三蔵もまた龍神の使いとして、救世主 玉龍を悪の手から救う使命を負っていると、美男軍・毛軍の両方の耳にも届いていった。
「玉龍を手に入れれば、救世主を救った英雄になれる」 そう読んだ両軍は互いに戦闘準備に取りかかる。


烏祁哭様にお目通りを、と現れたのは三蔵であった。「あんたを救ってくれと、悪い人じゃないから救ってくれと玉龍から上から目線で頼まれた」と語りかける。
しかし烏祁哭の答えは「25年前に生贄となった息子を忘れられない。無邪気に笑う玉龍と重なり幸せに思う自分に吐き気さえ覚える」と。
そして、そこに現れた玉龍に対し「お前は復讐の道具として生まれた汚らわしいもの。愛情など注げるはずがない」と言い放つ。
それでも「母を救え!」と訴える玉龍。 そんな折、美男軍が攻め入って来た。玉龍を奪い合う戦いの火蓋が切って落された。

その3に続く


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写真提供:スプーキーズ
文責:美月舞鈴

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